2011年2月1日火曜日

コップと言葉の束


言葉には重さがある。もし「言葉の束」というものがあり、それを水が入ったコップに投じることができたとしよう。束が解かれ言葉は、一つ一つの重さに従いコップの中に散らばっていく。繕われた表面的な「軽い」言葉は水面に浮かび、その人物を構成している核のような「重い」言葉は深く沈んでいくはずだ。

そうだとするなら、取材をする者に求められているのは、そのような重さを感じ取り、核となる重い言葉を正確に見分け、人物や取材対象を深い地点から浮き彫りにすることではないか。水面に浮かべられた掬い易い言葉に惑わされることなく…

そのためには、一度に多くの「言葉の束」を投じられる容積の大きなコップを用意する必要がある。さらに、できるだけ「重い言葉」を見つけられるように、深さのあるコップが欠かせない。つまり、取材する者の力量はまさに「器」の問題と言うことができる。

そのような器はどのようにして形成していくことができるのだろうか。抽象的な言葉で表現することが許されるのなら、それは取材対象者との信頼関係の構築によって築いていく他はないのではないか。心をくすぐる言葉だけでなく、一定期間の間に醸成された信頼感が大きな器を生みだす鍵であるように思える。特定の限られた人ではなく、誰であっても信頼関係に基づいた器を形成できるプロセスを見つけたい。

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