なぜ書くのか。東日本大震災の被災地を取材するに当たって、この根源的な問いがいつも以上に頭から離れない。震災後もほぼ変わらぬ日常を過ごしてきた私と、大きな断絶に直面した被災地の人びとの間には、深い溝が存在している。
にもかかわらず、そんな私が彼らの言葉を紡ぎ、書くことを許されているのだろうか。震災から1カ月が経ち、被災者が最も苦しかった時期を知らない私に何が書けると言うのか。
その距離を少しでも縮めるためには、復興や復旧に向けた言葉を探すことではなく、被災者に寄り添う言葉を見つけることが全ての始まりのように思える。その先に、他者への共感が可能になり、書くことの地平が切り拓かれるはずだ。
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